東京都につきましては、実は去年からライソゾーム病について本会の事業として始めていこうということを考えております。
SCIDについても、以前から近くに東京医科歯科大の今井先生がいらっしゃるので、何回かお声がけいただいてはいるのですけれども、動くにはまだ時間がかかるだろうというところです。その中で、東京慈恵会医科大学名誉教授の衛藤先生、大橋先生、成育医療研究センターの奥山先生からお声がけいただきまして、ライソゾーム病はどうかということで、本会の事業として理事会で検討した結果、取り組むことになりました。それで、今は先生方たちにご相談しながら、形をつくっていこうとしているところです。
対象疾患につきましては、最初ですので、まずは幅を狭くして、ファブリー病、ポンペ病、MPSⅠの3 疾患ということになるのではないかと思います。始めるに当たって、もちろん正常の方の分布などが必要になるのですが、東京都の場合、先ほどからいろいろお話があります新生児マススクリーニングのろ紙血の研究目的での使用の同意を得ていないのです。以前でしたら、使用済みの検査用紙を使うことで暗黙の了解ができていたのですが、今現在はそれは難しいので、実際にやるとなると、正常分布とかカットオフ値を定めるための検討をしなければいけない。それも今、手持ちにあるろ紙ではできないとなると、それを含めた試験研究のためにろ紙血をとっていただいて、それを使って検査することになります。今、そのための準備を進めているところです。
分析の測定の試薬のキットにつきましては、今のところパーキンエルマー社のキットをそのまま使うという形です。
装置は、新年度に向けてルーチンで使っているタンデムマスの更新という形で、新しい装置を1台導入する予定です。ルーチンのタンデムマスの有機酸脂肪酸等の検査についても、その装置でやりますし、今度のライソゾームについても、カラムを切りかえてやる形になると思います。ただ、先ほど申し上げたように、試験研究的なスタートですので、1日の検体数は少ないでしょうから、毎日動かす形というよりは、もしかしたら2 日に1 回とか、検体をためて検査する形になるかもしれません。1カ月健診までに結果をお返しできればいいのかなというスタンスで考えています。
ろ紙血についてはLSD検査のための同意を得ていないということもありますので、別のろ紙をとっていただく形になるかと思います。今後どうなるかわからないですけれども、現状としてはそういう形で進めたいと思っています。
同意の書類等も今、急ピッチで作成しているところで、今現在、ちょっとお見せできるものは何もないのですけれども、そんな形で今後進めていきます。当初は4 月スタートも考えていましたけれども、タンデムマスの装置自体の導入が遅れそうなので、4 月スタートは難しいだろうということで、準備ができ次第アナウンスをして、研究協力していただく医療機関にも実際に出向いて協力をお願いして、進めていきたいと思っているところです。