ファブリー病はライソゾーム病の中でも発症頻度の高い希少疾患であり、診断も小児期から成人期までわたります。
他のライソゾーム病に比べ、進行が緩徐で遅く、症状も多様であることもあり、症状発現から診断や治療開始までに遅れがあることが問題とされています。また、古典型(男性)とヘテロ型(女性)で治療開始の時期がことなることなどもあり、治療の進め方も一様には決められないといった問題もみられます。
一方、わが国でもファブリー病を含むライソゾーム病において、新生児スクリーニングが各地で実施されるような状況にあり、また、ファブリー病の早期診断の経験が蓄積してきております。
そうした経験の中から、早期治療を受けている患者さんやその家族の皆様にも、種々の良い影響が出て来ていると思われます。
こうした背景の中で、ファブリー病の早期診断、早期治療のあり方について整理をするとともに、課題、問題点も明らかにしながら、今後の展望について検討するというのが、この座談会の企画趣旨でございます。
今回はファブリー病の治療に携わる専門医の先生方にお集まりいただきました。病態の概要から早期診断と治療に対するご意見を承り、今後の活動の指針として反映させていこうと考えている次第です。
本冊子は2017 年5 月27 日(土)に開催された座談会「ファブリー病の早期診断の重要性」を基に編集作成しました。