原田 それから、ハイリスクスクリーニングをどのような体制でやるのが望ましいか。具体的に、患者会以外に、行政、産婦人科、それから、検査体制を持っている熊本大学などの医療機関等も含めて、ネットワークを整え情報を共有しつつある今、コンサルテーションセンターの全国組織も必要でしょう。難病対策も国から地方へどんどん移ってきています。各都道府県では難病対策地域協議会が今年4月に始まっています。熊本大学小児科の中村公俊先生といっしょに話を聞く機会があったのですが、産婦人科など多くの施設と連携してテーマを決めて、ベクトルを一つにできるような、小さいコミュニティーで連携を図る診療ネットワークの会などの話が出ているようです。
遠藤 新生児スクリーニングの対象となった19疾病については、公的予算の中で行われているスクリーニングなので、都道府県、もしくは、政令指定都市ごとに公的な協議会でネットワークを作るように指導されています。実際にやっているところとまだ始まっていないところに分かれています。
原田 診断や治療法が確立されている希少疾病でまずやるという考えは理解できます。しかし、治療法がない希少疾病についても対応を検討していくことも重要だと思います。そうすることで多くの協力が得られ、進めやすいのではないかと考えています。
本間 妊娠中、心配している時に話しを聞けば、心に染入るかもしれないし、タイミングは大事ですよね。それから、スクリーニング検査は無料である必要はなく、一部負担があってもいいと考えています。
秋山 ファブリー病は全国的に患者数が多いと思いますが、ムコ多糖症は都道府県によって偏りがあり、関東、関西が非常に多いです。つまり、一つのモデルケースとして、東京や大阪でだけでパイロットスタディー的なことを実施するのも一つの方法と考えています。ムコ多糖症は中国地区、島根では一人もいません。四国も非常に少ないです。
原田 現時点の特定疾患の医療受給者証所持者数ですが、平成26年度のライソゾーム病患者数は1,061名とあります。ファブリー病治療患者数が現在、約700人くらい、そうすると、残りの360人くらいがムコ多糖症、ゴーシェ病、ポンペ病だと思います。前年度より94名増えているようです。