基本理念

赤ちゃんの誕生は、その家族にとってかけがえのない、喜ばしい瞬間です。その後の赤ちゃんの成長において、もし病気による障害の発生や影響を治療などによって少しでも抑えることができるとしたら、それはとてもだいじなことと思います。

ライソゾーム病は数万人に1人という頻度で発生する、とても稀な遺伝性疾患のグループです。しかし、その中には治療法があるものもあります。どんな病気でもそうですが、病気の発見、治療の開始は早ければ早い方がよいと言われています。病気であることを知らずに成長し、いつか症状に気づき、何年もかけて病院をいくつも回り、やっと専門医にたどり着き、診断された時には、家族は疲れ果て、症状はかなり進行しているといったケースをいくつか見て参りました。

そのような家族や患者さんが少しでも少なくなるようにと常日頃思っております。そのためには早期の診断が必要であり、様々な取り組みが必要です。専門医の育成、一般医師への情報の伝達、あるいは患者様との一体化した活動などがあげられます。とくに早期診断の面からみると、アメリカ合衆国では、2015年にポンぺ病、2016年にはムコ多糖症1型が新生児スクリーニングの対象疾患に加えられております。そのほかのライソゾーム病の新生児スクリーニングも順次行政によって政策の中に取り込まれつつあります。

そのような国外の状況を考えますと、日本においても、ライソゾーム病の新生児スクリーニングをどう実施していくかということは重要な課題と考えます。早期診断を達成する手段の一つとして、新生児スクリーニングの実施は大きな比重を占めていると考えています。皆様方とともに、スクリーニングの実現のために、研究し、活動していきたいと思います。

所在地

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